プノンペン経済特区内に、3000世帯の低中所得者層向け住宅を開発するための国際デザインコンペが5月9日、始まりました。
このデザインはコミュニティ全体の開発で、居住者にとって基本的に必要な商店、カフェ、デイケアセンター、クリニック、そして公園なども含まれます。優勝者は20,000米ドルの副賞を与えられます。また、2位から5位の入賞者にも、5,000米ドルが与えられます。
この国際コンペは、エンジニア、建築家など国内外のデザインのプロのほか、この分野で学ぶ学生でも参加が可能です。
このコンテストの目標はプノンペン経済特区の社会、環境、経済が健全な発展を遂げることです。プノンペン経済特区社とともに、国連開発計画(UNDP)とビルディング・トラストインターナショナルが主催します。
プノンペン経済特区社の上松裕士CEOは、「経済特別区は、カンボジアの持続的な経済発展に重要な役割を果たしています。経済特別区は、外国直接投資や技術移転、貿易のハブとなっているのです。さらに重要なのは、多くの雇用を創出していることです」と、語りました。
世界銀行によると、カンボジア経済は2018年、6.9%のGDP成長率が予測されています。この20年間の平均年間経済成長率をみると、7.7%です。そしてこのような急速な成長の一方で、社会の発展は、持続可能で、包括的で、国連が定めた「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の要件を満たすものである必要があります。
国連開発計画のカンボジア代表、ニック・ベレスフォード氏は、持続可能な開発目標を達成するためには、経済特別区は、より自然豊かに、きれいに、効率的に、そして地域のコミュニティの必要に応じたサービスを提供できる「持続的な経済特区」にならなくてはならない、と話しました。経済特別区内には、持続可能な開発目標の項目として挙がっている再生可能なエネルギー、廃棄物の適正な処理、質の高い雇用、そして今回の低価格住宅など多くの要素が含まれています。
急速な都市化に伴い、多くの低中所得労働者がプノンペンにやってきました。そのため、彼らとその家族のために、比較的低コストで持続可能な家を供給する必要が高まっています。
プノンペン経済特区で働くヤン・チェンダさん(31)は「プノンペンで働くために10年間、家族と離れて暮らしている」と、言います。「将来、きちんとした家に家族が一緒に住めて、ご飯が食べられることをいつも夢みています」
このプノンペン経済特区社と国連開発計画の狙いは、持続可能な経済特別区を創出することにあります。敷地面積357ヘクタール、雇用総数約17,000人のプノンペン経済特区は、その先駆けとなります
ビルディング・トラストインターナショナルのデビッド・コール代表は、「低中所得者層向け住宅デザインコンペは、プノンペン経済特区内に持続可能な、低コスト住宅をデザインすることを通してこの変化をもたらすための重要なパートとなります。低中所得労働者の皆さんに、家族とともにより良い暮らしをしていただく機会を提供するでしょう」と、話しました。「このコンペは、ヤン・チェンダさんのような皆さんの夢を実現することでしょう」
低価格住宅デザインチャレンジについては、こちらのURLをご覧ください。
http://www.buildingtrustinternational.org/competition.html.